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二戸を菌床シイタケ拠点に

アグリードいわて増設で生産力強化

二戸市浄法寺町のアグリードいわてが人工的に製造した菌床を使う「菌床シイタケ」の生産に取り組んでいる。最近では、栽培施設を増設し、近隣農家への菌床の提供も本格化させる。杉沢代表は「菌床シイタケは、安定した収益を期待できる。関心を持ってもらい、就農者数の増加につなげたい」と強調しており、二戸地域での産地形成も目指している。

農業資材を扱う「スギサワ商事」も営む杉沢代表。菌床シイタケの生産に乗り出したのは、取引先農家の高齢化が進む状況から「手を打たなければ地域農業全体が衰退する」と危機感を強めたのがきっかけだった。

2013年〜15年に栽培を行う発生舎2棟と、培養棟1棟を開設し、生産を始めた。通年出荷が可能だったこともあり、事業を徐々に拡大。19年に会社を設立した。社名はアグリ(農業)とリード(先導)を掛け合わせ「地域の農業の先頭に立つ」との思いを込めた。

菌床シイタケの生産は、シイタケ菌とおが粉を混ぜて作った「菌床玉」を培養棟で105日間かけて「完熟玉」の状態にし、それをアグリプランの特許製法「吊棒栽培法」を活用して育てる流れ。収穫後は、岩手中央農協へ出荷している。

機密性の高い生産施設で温度や湿度を管理し、栽培時の水管理も丁寧に行うなど品質向上にも取り組んだ結果、収益は年々拡大。20年度は約21トンを生産し、約2600万円売り上げた。

一方、事業に関心を持った近隣農家と共に「二戸菌床しいたけ生産組合」も立ち上げた。組合員に完熟玉を供給するため、昨年7月には培養棟3棟を増設。今年2月には「とうぎん・もりしんアグリファンド」から1500万円の投資も受け、一層の生産量拡大を目指している。

杉沢代表は「将来的には年間1億円ほどにまで売り上げを伸ばしたい」と展望を語る。その上で「衛生的な施設で効率よく作業しながら収益を得られるのは、農家にとって魅力。若い人材の雇用も増やし。地域の就農者の減少も防ぎたい」と話す。

引用:デーリー東北 2021年5月13日掲載 「アグリードいわて増設で生産力強化より」